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先生がくれた忘れられないプレゼント

中学3年の卒業式の時の話です。
その時のクラス担任はベテランのとても厳しい人だったため、クラスみんなが怖がって距離を置いていました。
何か間違ったことをするとすぐに怒鳴られていたため、私も正直苦手に感じていました。
担当科目は国語だったのですが、先生のことが苦手すぎて国語という科目自体が嫌いになってしまう程でした。
唯一のコミュニケーション手段は、毎日専用のノートで提出する交換日記です。
ノートに3、4行程度のその日にあったことを書いて提出することになっていました。
クラス30人全員分のノートが赤ペンで誤字脱字を添削後、内容の感想が一行簡潔にまとめられて返ってきました。
字が汚かったり適当に書いたりした場合には、特に辛辣な感想が返ってきたのでみんな真剣に取り組みました。
私も毎日必死でその日の出来事を思い返しては夜寝る前に正座して一字一字真剣に書いたものです。
それは高校の入試が始まる一ヶ月前まで続きました。
最後にノートを提出した時、珍しくその返事が返ってきませんでした。
入試の準備で忙しいからだろうと思っていましたが、入試が終わってもそのノートが戻ってくることはありませんでした。
そして迎えた卒業式。
講堂で式典が終わってクラスに戻ると、最後のホームルームが開かれました。
いつもよりも高級そうなスーツをビシッと真面目に着こなした先生が、壇上に上がって教壇の下から風呂敷包みを取り出しました。
そしておもむろにその包みを開いて見覚えのあるノートを取り出したのです。
それはあの交換日記用のノートでした。
そして、出席番号順に一人一人名前を呼んでノートを手渡してくれました。
それまで怖くて苦手なはずだったのに、ノートを受け取った人はみんな感極まって泣き出していました。
私もノートを受け取る時に先生の老人のような指を間近で見て涙が止まらなくなりました。
こんなに弱々しい人だったっけと心の中で思いました。
最後の挨拶で私たちが最後の生徒であったことを知りました。
今年で定年になるため学校を去るのだそうです。
挨拶の最後に初めて先生の笑顔を見ました。
交換ノートでやり取りしながら私たちと過ごした毎日がかけがえのないものだったと言っていました。
教室では恥ずかしくてそして何だかもったいなかったので、家に帰ってからそっとノートを開きました。
そしたら、最終ページに赤ペンでびっしり最後のメッセージが書かれていたのです。
そっけないように見えてこんなに私のことを見ていてくれたのかという程、私についての思い出が書かれていました。
途中から涙で滲んで読めなくなってしまいました。
思えば、このノートのやり取りのおかげで漢字をたくさん覚えました。
字もきれいになりました。
文章もかけるようになったと思います。
一年間の交換ノートが先生が私たちにくれたかけがえのないプレゼントであったことをその時悟りました。
今でもそのノートは大事に手元に置いています。
悲しいことがあった時や挫けそうな時に開いて元気をもらっています。

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