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二十歳の誕生日プレゼントは絵本でした

私は絵本が好きです。
幼い頃に、ふかふかの布団にくるまって、母のあたたかな手で頭や背中をなでられながら、読み聞かせてもらった沢山の絵本達。
お姫様になったり、見た事も無い世界で冒険したり、何回も生まれ変わった猫がいたり、ちょっと怖いオバケにであったり、虫歯菌と戦ったり。
絵本の中に夢を膨らませ、幼い頃の私はとても自由でした。
好きな仕事について、好きな人や動物に出会い囲まれて暮らし、小さいものから大きものまで、さまざまな経験をして必ずハッピーエンドになる。
絵本の中の世界は、私の憧れでした。
しかし年を取るに従って子供の純粋さは薄れゆくのが、人間と言う生き物です。
一時期はそんな自分の何もかもが嫌になってしまった時期がありました。
それは、もうすぐ二十歳の誕生日を迎えようとしていた頃。
人間関係、進学、成績、就職。
年齢的にも自分の人生と言うものに責任を持たなくてはいけない・・・。
私は真面目すぎる性格だったので、様々な事を悩みに悩んでいました。
そうして考えすぎた挙句に、心のバランスを崩してしまった時期がありました。
打たれ弱い自分に余計に嫌気がさし、自分の将来に焦る一方だった私。
そうして迎えた二十歳の誕生日の朝、母が声をかけてきました。
「お誕生日おめでとう。」渡されたのは、一冊の絵本でした。
私は少し驚きました。
絵本は確かに好きだけれど、ここ数年は読んでいなかったし、ましてや二十歳の誕生日に絵本を贈られるなんて、成人したのに子供扱いをされているようで、ますます心が暗くなりました。
しかし「折角プレゼントしてくれたのだから読んでみよう。」と思い、絵本を開いてみました。
その絵本に描かれていたのは、まるまるとした赤いりんごやピカピカの銀のスプーン。
グレーの雲から降る雨。
白いひなぎく。
吹く風や、いつも見える青い空。
美しいイラストと共に、「様々な事柄が起きて、本質を見失ってしまうけれど本当に大切な事は何なのか、あなたはあなたであることが大切なんだよ」と言うメッセージが優しい語り口調で書かれていました。
読み終わる頃、気付けば私は泣いていました。
私が人生の岐路に立って、悩んでいる事を知っていた母は、どんな道でもいい。
絵本の中に憧れていた頃のように、伸び伸びしていい。
他人に何と言われようと、自分で選んで自分で進んでいけばいい。
ただひとつ、自分で自分を小さな心に閉じ込めて、自分自身を見失ってはいけないという事を絵本を通して知らせてくれました。
私に大切なことを思い出させてくれたのです。
二十歳まで愛をそそいで育ててくれた母からの、最高のプレゼントでした。
今でもその絵本は私の宝物。
悩んだ時に読むようにしています。
読むと心にぬくもりを感じます。
私が絵本を好きな理由は、きっと絵本を通して、母の愛を感じるからなのでしょう。
きっと、これからもずっと、絵本が好きでありたいなと思っています。

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