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無愛想な取引先からいただいたプレゼント

私は結婚直前まで、ある小さな商社に勤めていました。
その会社は輸出入をメインにしている会社で、その関係で通関業者とのおつきあいが日常的にありました。
ある通関業者とやり取りをするのが私の役目でしたが、大変ストレスがたまる仕事でした。
中でも、苦手な通関担当の人がいて、この人と電話で会話をするのが、とても苦痛になっていました。
それで結婚が決まって退職する時も、正直あの人ともう話をしなくていいと思うと、ほっとしたのを覚えています。
やめる日まであとわずかという時でした。
その通関業者のお使いとして、やってくる助手の女性がいつものようにやって来きました。
それ自体は、なんてことのない日常の風景でした。
ところがいつもと違ったのは、その助手の女性がリボンのかかったある包みを持ってきたことでした。
何だろうと思っていたら、その人が言うには、私へのプレゼントだと言うのです。
想像していなかったので本当に驚きました。
そしてその方は、私が結婚でやめると聞いたので、上司がプレゼントを用意したから受け取ってほしいというのでした。
上司というのは、私が大の苦手だったあの人のことです。
てっきり私のことを嫌っているのかと思っていました。
その人がよりによって、私の結婚祝いを用意してくれていたなんて。
驚くとともに深く感動しました。
その包みを開けてみると、かわいらしいペアのマグカップが入っているではありませんか。
あの方が選んだのか、はたまた助手に適当に選んで買って来いと言ったのかはわかりませんが、とにかく結婚退職と聞いてプレゼントしてくれたのは事実です。
とても意外でしたが、同時にこんなに嬉しく、ありがたいと思ったことはありませんでした。
嬉しかった本当の理由はきっと、今まで私のことを仕事の未熟な、面倒な人と思われているだろうと勝手に思っていたけど、意外と評価してくれていたとわかったことだと思います。
私は早速、お礼の電話をしましたが、その通関業者の方は相変わらずそっけなく、忙しいんだから余計な話をする余裕はないとでも言いたげな様子でした。
それでも私には、その方が持っている優しさが十分伝わってきました。
人は見かけによらないものです。
普段は無愛想でも、いざとなると優しさがにじみ出る人もいるのです。
むしろそういう人の方が多いかも知れません。
今まで自分でもいろいろな機会に、いろいろな人にプレゼントをしてきましたが、この取引先である通関業者の方のように、スマートな形でプレゼントできるような人になりたいと、その時心から思ったのでした。

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