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母から父へ、みがき続けた40年目のプレゼント

両親は今年、結婚40周年を迎えました。
子供たちが独立して夫婦2人の生活になってからは時間的にも経済的にも余裕がうまれ、結婚記念日は海外ですごすことが恒例になっていました。
今年は節目の年ということで、以前から父は「いつも迷惑ばかりかけているから」と40年にちなんで40万円分のアクセサリーをプレゼントすると母に約束していました。
いつもなら旅行だけでじゅうぶんだからと高価なものを欲しがらない母でしたが、つみあげてきた年月とこの先一緒に重ねられる時間への思いは深く、父からの申し出をうれしそうにしていました。
2人は旅なれていましたが、父はもうすぐ70歳、母も60歳をこえており元気ではあるものの健康にまったく不安がないという年齢ではありません。
とくに経営者である父はまだ現役で働いており、仕事のストレスや不摂生から腰痛になやまされていました。
それでも日常から離れてすごす時間は気持ちがリフレッシュできるからと飛行機での移動も楽しんでいました。
けれど今回は特別だという気持ちがすぎたようです。
到着したその日の夜、いつもよりかなり飲みすぎた父は家よりずっとやわらかいマットで大の字になったまま眠ってしまいました。
「腰にビリッと電気がはしった」ような痛みを感じ、ぎっくり腰に気がついた瞬間、自力で起き上がることができなくなっていたといいます。
次の日からの観光やショッピングはすべてキャンセルし、父はひたすらホテルの部屋で横になって痛みがおさまるのをまちました。
母はほとんどつきっきりで食事やトイレを手つだい、少しだけホテルの中を散歩したりして滞在期間を過ごしました。
けれど2人の忍耐もむなしく、帰国前日になっても父は歩くことができませんでした。
あわてて地元の救急病院を紹介してもらい、なんとか応急処置をしてもらったのですが、ドクターから下された診断は「エコノミー席への搭乗禁止」というもの。
ビジネスクラス以上の座席であればシートをフラットに近い状態にできるため許可できると言われ、母は帰国前夜にほとんど理解できない英語で航空会社に電話をかけ、飛行機の座席を確保しました。
帰国後も長い療養期間、ずっと母に世話をしてもらいながら父はなんとか仕事に戻りました。
すべてがやっと落ちついたと息をついたころ、海外の救急病院での治療費と飛行機の座席をグレードアップさせた差額、空港から家までのタクシー代をふくむクレジットカードの請求書がとどきました。
約40万円の請求金額をみて母は「ショッピングに行けなくてよかった」と大笑いしていました。
「おとうさんのおかげでとんでもない旅行になった」と電話口ではグチってみせながら、腰の痛みがとれるまでは運転もできない父の送迎をこなし、先回りしながら少しでも動けないストレスが減るようにとこまやかな気配りで生活をサポートしていた母。
あんなに楽しみにしていたダイヤモンドの指輪も買えず予算も消えてしまったのに、がっかりした気持ちを少しも感じさせません。
そんなようすをみていると、ダイアモンドはすでに母の手のなかにあったことに気がつきました。
きっと最初は原石のように輝くこともなかった夫婦の絆は、2人が元気でいられたからこそみがき続けられ、40年たった今、本物の何倍も輝いているのです。

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