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ドア一枚向こうにプレゼント

あるとき、大切にしてきた恋人とささいなことをきっかけに喧嘩をしてしまいました。
そのため、毎日していた電話やメールも途切れてしまっていました。
そのときの私は数ヶ月に迫った国家試験が差し迫り、精神的にも追いつめられていました。
そのこともあって恋人に強い口調で迫ったことで口論になってしまい仲直りのきっかけもつかめずにいました。
そしてこのことに時間や労力を割いていられないくらい勉強に追われていました。
直近の模試では不合格判定が出ていました。
それまでも1年かけて模試をやって一度も合格ラインに達することが出来ていなかった私は最後の数か月間に勝負をかけていました。
テレビやパソコンの電源をプラグごと抜き、「血を吐くような」と形容するのがしっくりくるほどの猛勉強を重ねているときでした。
食事はこれまで時間をかけてつくっていた手料理から一変、大量につくった作り置きのカレーと冷凍ごはんで空腹を満たし、ただひたすらに勉強を続けていました。
睡眠も仮眠をとる程度で不合格の悪夢を見るほどに追いつめられていました。
そんな状況を恋人は知っていました。
なので、デートはいつでも市民図書館でした。
彼は2時間かけて自宅へ迎えにきてくれ、大量の資料と問題集を私の代わりにもって一緒に図書館へ行ってくれました。
その図書館は自習室が広くて人気でしたがその代わり朝一番でないと席がとれなかったのでいつも早い時間に図書館へ行っていました。
特に勉強することのない彼ですが私に付き合い、デートらしいデートは図書館で勉強している合間にやってくるランチを一緒に摂ることと帰りの夕食を一緒に摂ることくらいでほとんど私は勉強にかかりきりでした。
そんな生活のなかでも彼は一言も文句を言わず毎週図書館通いに付き添ってくれました。
今思えば食事もろくに摂らない私を気遣ってくれていたのでしょう。
そんな大切にしてくれる彼と喧嘩をしても勉強に必死だった私は自分の受験のことを考えるだけで精いっぱいでした。
喧嘩をした数日後の夜、ふと鳴らなくなった携帯電話がメールの受信を知らせるランプを光らせているのに気づきました。
勉強に集中しすぎていてその音に気付かなかったのです。
メールを読んでみると彼からでした。
慌てて自宅のドアを開くと表に小さなビニール袋がかかっていました。
中身を確認すると小さなプレゼントが入っていました。
それと同時に小さな紙切れが一枚。
それは彼が今までそこにいたことを知るのに十分でした。
急いで電話を掛けた私の耳には彼の優しい声が響きました。
自宅まで行ってメールをしたけれど返事がなかったから待っていてくれたこと。
勉強の邪魔をしないように終電まで粘ったけれども返事がなかったのでプレゼントだけ置いて帰ったこと。
そのプレゼントよりもなによりも彼が大切に想ってくれていたことがなによりの贈り物でした。
それから6年経ってその彼と結婚しましたが、今もあの紙切れに書いた文字が彼からもらった一番のプレゼントで大切にしまっています。

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