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父からの最初で最後のプレゼント

私の父は私が20歳のときにガンで亡くなりました。
そんな父からもらった最初で最後のプレゼントの話です。
初めて父がガンと聞かされたときには、もう手術も出来ない状態まで病気が進行していました。
私が知ったときには発見から2年も経っていて、父は自分がガンだったことを隠し続けていたのです。
ガンが発見されたときには姉が精神的に病気にかかってしまった時期で、私自身も受験や進級で落ち着かない時期だったことや、私たち姉妹を心配させないようにと父が母にも口止めしていたようです。
このとき、私の目の前は真っ暗になりました。
何が起こったのか分かりませんでした。
どんなときでも心強い私たちの太陽のような存在でしたし、いつも豪快で元気な父がもう助からないかもしれないと思うと涙が止まりませんでした。
何もかも終わってしまう、そんなことまで考えるようになりました。
父はその後徐々に弱っていき、物も食べられなくなります。
でもみんなと囲む食卓が大好きな父は、自分がご飯を食べられなくても一緒に食卓に座って、私たちがご飯を食べているのをニコニコしながら眺めていました。
いよいよ父が病院に入院することになった前日の夜、父の部屋に行くと父が私に言いました。
「結婚式のバージンロードは一緒に歩こうね。」と。
いきなりそんなこと言うなんてどうしたんだろうと思っているときです。
「君の夢は結婚してかわいいお嫁さんになることだろう。だから君の夢が叶ったときは、一緒にバージンロードを歩こう。約束だ。」と。
そうなんです。
私の幼いときから当時までの密かな夢は、結婚だったのです。
結婚式で父とバージンロードを歩くことが夢だったのです。
いつそんな夢のことを話したのか、なぜ知っていたのかは分かりませんが、父がそんなことを言ってくれました。
今までそんなことを言ってくれたこともなく、誕生日にはプレゼントもくれない、休日はゴルフや接待に出掛け、私たち家族をほったらかしの父でしたが、初めてこんなことを言ってくれました。
そうなんです。
これが父なりの言葉のプレゼントだったのです。
これが最初で最後の父からのプレゼントでした。
ずっとずっと心に残るプレゼントです。
数年後の私の結婚式では父との約束通り、父とバージンロードを歩きました。
父の優しい笑顔が見える写真を持って。
一生忘れられない、素敵な結婚式にすることが出来ました。
父に何も出来なかった私ですが、このときやっと父への恩返しが出来たように思います。

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