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心の中に咲き続ける思い出のプレゼント

結婚前、私は遠距離恋愛をしていた。
出会いは大学。
お互い地元から離れた場所に進学していて、付き合い始めたのは卒業の年だった。
卒業後はそれぞれが地元に戻って就職することが決まっていたから最初から遠距離恋愛になることは分かっていた。
でも付き合い始めた頃に将来遠距離になることを想像するのは難しくて、それほど気にしていなかったというのが実際だ。
付き合い始めた頃は、卒業したら別れればいいやくらい簡単に考えていたからかもしれない。
相手の一目ぼれだったということも大きいと思う。
それでも日々共通の時間を過ごしていく中で、着実に私の中で彼の存在は大きくなり卒業する頃には「何でもっと早く出会えなかったんだろう」と思うようになっていた。
もう少し早く出会えていたら多分私はUターン就職を希望しなかっただろう。
そんな風に何度も思った。
だけど決まった進路は今更変えられない。
私は予定通り地元に戻り就職をした。
離れたばかりの頃は心が張り裂けそうになり寝ても覚めても涙が止まらなかった。
引越し前、山﨑まさよしの「one more time,one more chance」をよく聴いていたからどこにいても歌詞が頭に浮かび、また涙したりもした。
慣れない社会人生活。
遠距離恋愛の寂しさ。
いろんなことがストレスになって働き始めた頃はぼろぼろだった。
それでも頑張ろうと思えたのはまた彼に再会するのを楽しみにしていたから。
簡単に会える距離ではなかったから会うのも数ヶ月に一度がやっとだった。
卒業してから4ヵ月後。
お互い社会人になってから初めて再会した。
電話は毎日していたけどやっぱり会うのはぜんぜん違う。
時間が経つのがあっという間で、本当に一秒一秒を惜しむように濃密な時間を過ごした。
離れる時はもう大変。
予定の数時間前から涙が出てきて何も話せない。
次はいつ会える。
そんな事は分からない。
何度かそんな再会を繰り返していたある冬、私の誕生日がやってきた。
近くにいた頃は一緒にご飯を食べに行って映画を見て過ごした。
別に特別な事はしなかったけど遠距離恋愛中の身には何よりもそんな過ごし方が羨ましくて仕方ない。
一緒にご飯を食べることの出来る幸せ。
一緒に映画を観ることの出来る幸せ。
何よりも同じときを過ごせることの幸せ。
そんな何気ない時間の過ごし方の中にも幸せを感じることが出来るようになったのはそのときの経験のお陰かなと思う。
その年の私の誕生日は平日だった。
いつものように仕事に行き、いつもと同じ一日を過ごした。
そして家に帰ってくると私宛に少し大きめの箱が届いていた。
彼からのプレゼントだった。
箱を開けるとそこには花の鉢植え。
そして「誕生日おめでとう。
来年からはずっと一緒だよ」の文字。
思わず涙が出た。
でもそれは今までみたいな悲しい涙じゃなくて温かく嬉しい涙。
彼なりのプロポーズの言葉だった。
その次の春、私たちの遠距離恋愛は終わりを迎えた。
私が彼の地元に嫁いだのだ。
残念ながら大き目のその鉢は持ってくることができなかったが、あのときの思い出の花は今も私の心の中で咲き続けている。

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